転職回数が多く、コンプレックスに感じているというご相談を受けました。転職回数が多いことでなかなか書類審査が通過できないことが悩み、とのことです。
面接に呼ばれないと理由を説明する機会もなくて、どうすればいいのか…となる気持ち、私も似たような経験があります。ネガティブな理由で退職したわけではなくても、指摘されると気持ちが萎んでしまいますよね。
今回は、7回の転職経験を持つ私が、転職回数に対する考え方・説明の仕方について紹介します。記事を最後まで読んでもらえたら、きっと転職回数に対する新しい捉え方のヒントが見つかりますよ。参考にしてもらえたら嬉しいです。
「どうして転職したのか」理由が大切
「転職回数が多い」というのは何回からか、という決まった定義はありません。年齢にもよりますが、5回以上の転職経験は選考に影響すると考えられているようです。
ただ昨今の人材不足の影響で、少し前よりも転職回数を気にする企業は減少傾向にあります。採用担当者は回数よりも「退職理由」「3年以内の早期離職を繰り返していないか」「貢献していたか」を見ることが多いです。
転職理由を伝えるポイントは、正直に前向きな言葉で伝えることをおすすめします。私の場合は以下のとおりです。
より良くなりたい、成長したい
これまで20数年の職業人生の中で、私は以下のような勉強をしてきました。
- ファイナンシャルプランナー:経理職中に資格取得
- 色彩検定:ネイリスト職中に資格取得
- 販売士:販売員職中に資格取得
- コーチング:管理職になった時に資格取得
- 保育士:人事担当時に資格取得
- キャリアコンサルタント:人事経験を活かして資格取得
一つひとつの学びには、関連性が見られませんよね。飽きっぽい自分や継続できない自分を、責めてしまう時期もありました。でも、当時の仕事に関連したことを学んできているなと感じます。
当時に思いを馳せてみると考えて行動できていていたかな、と思います。自分を客観視することは大切です。自分の決断の理由を言語化してみてください。
一生懸命仕事に取り組んでいたからこそ、よりよくなりたいという向上心があったからこそ、時間とお金と労力をかけて学んだことは恥ずべきことではありません。
学びが転職のきっかけなら、成長意欲があるということ。前向きな転職理由と言えるでしょう。
人との繋がりを大切にする
転職理由の中には自分の意思だけでなく、周囲の影響によるものもあります。
- 育児や介護、家族の転勤
- 自分や家族の病気
- 契約更新やビザ
- 社会情勢の変化
個人の努力の範疇以外のことで転職回数が増えてしまうのは、やむを得ない場合も多いです。周囲の都合やバランスによって、自分の仕事に影響が出てしまうことがあります。仕事よりも協調性や感情を優先するときがあるからです。
身近な人からの声掛けで転職した時もあります。経理から営業職になった時は、ファイナンシャルプランナー資格を取得した話をすると知人から紹介されました。
営業職からネイリストになった時は、たまたま通っていたスクールのポジションが空いてお声がけいただいたことがきっかけです。当時はご縁をありがたく思いつつ、新しい世界に飛び込んでいった感覚でした。
企業が転職回数を気にする理由
私が採用を担当していた時に転職回数が多い人に対して気にしていたのは以下のことです。
- 忍耐力や協調性がない
- 自己分析ができていない
- 他責の傾向がある
ネガティブな理由での退職者は避けたい
早期離職による企業へのダメージはかなり大きいです。採用や教育、管理、コミュニケーションにもコストがかかります。採用コストは年々上昇傾向にあるので、なるべく長く安定して働いてくれる人が求められています。
戦力として貢献してもらう前に退職されると、企業は相当のマイナスを抱えることになります。
忍耐力と協調性がなく、他責の傾向がある人がチームに入ると、他のメンバーにも良くありません。たった一人の影響で、チーム全体のバランスが崩れて大ダメージを受けることがあるからです。
転職回数だけで判断されると、以上のような先入観を持たれてしまう可能性があります。転職回数が多いと感じる人は、採用担当者の不安を払拭するエピソードをお話するのも効果的です。
これまでの経験とスキル、今後の貢献をアピール
転職回数が多い場合、企業は求職者がこれまでに経験してきたことや身につけたスキル、今後どのように貢献してくれるのかを気にしています。成功体験だけではなく、失敗したことから得た学びもアピールになります。
仮説を立てて実行し、結果どうなったのか。上手くいってもいかなくても、原因を分析してまたチャレンジできる人は評価されやすいです。
誰かのせいにしたり、環境に恵まれなかったことを理由にすると言い訳のように聞こえてしまいます。他責は悪い評価につながることが多いので、おすすめできません。
経験やスキルが企業の目標達成に貢献できることを伝えられると、即戦力として評価されやすいです。採用後の企業に、どんなメリットをもたらすことができるかをお話ししてみてください。
転職ストーリーの実例
転職回数が多くなった背景と経験から得られたものを伝えられれば、入社後の活躍がイメージしやすくなります。私の場合は以下のとおりです。
- 建設会社の経理→ファイナンシャルプランナー
たまたま見かけた大学の推薦枠があった建設会社に、ほとんど何も考えずに就職してしまいました…。経理を担当する中で興味を持ったのが、ファイナンシャルプランナーです。通信教育で資格を取得したところ、知人から営業に誘われました。大企業の歯車の1つとして働くことに停滞感を感じての転職でもありました。
- 保険営業→ネイル資格
営業で外に出るようになると、ずっとコンプレックスだった爪の形が気になり始めました。当時通っていた美容室にネイルサロンが併設されていたので通っているうちに教えてもらうことに。レッスンが終了する頃、ネイリスト兼美容室受付としてお声がけいただき転職しました。
- ネイリスト兼美容室受付→色彩検定
ネイルに活かせる色彩検定を受験し合格。デザインに自信を持てるようになりました。美容室の受付で大切なことは「気配り」「効率」「チームワーク」です。お客様だけでなく美容師さん達の様子も良くみて、最大の利益が出るように予約を受付けたり、片付けや掃除の手伝いをしたり。チームでしか得られない達成感を経験しました。
経理や営業、ネイリストと一人でコツコツ積み上げる仕事を経験しました。美容室の受付の経験から、チームで連携することや接客業の楽しさを学びました。
以降はチームやマネジメントにキャリアの軸が移っていきます。
- スターバックスマネージャー→コーチング
大好きなネイルの仕事でしたがアレルギーを発症し退職。チームで働く仕事がしたくて、TSUTAYAがフランチャイジーになったスターバックスのマネージャーに転職しました。札幌の新店オープンのちに東京へ転勤。しかし、残念ながら介護のため退職しました。
- 販売員・店長・SV・BY・MD・人事採用教育・EC販売→販売士
状況が落ち着いたため再び就職。服飾雑貨メーカーの販売員になりました。半年後に店長、SV、BY、MDと歴任させてもらい人事へ。60名のスタッフのマネジメントを担当する中で、スターバックスで触れたコーチングをもっと学びたくなりスクールに通いました。
管理職を任せていただき大変やりがいがありましたが、子どもが生まれたことをきっかけに、大量生産大量消費に疑問を持つようになりました。人事経験で触れた「教育」をもっと深めてみようと保育業界へ。
- 保育補助→保育士資格取得
保育補助として勤務しつつ保育士資格を取得。子どもたちとの日々は新鮮で、毎日多くのエネルギーをもらって過ごしていました。が、義理の実家の介護が必要になり退職。
- 介護をしつつ職業訓練(eラーニング)でマーケティングとWEBデザインを学び、キャリアコンサルタントを経験者受験。現在に至ります。
転職に至る動機と学び、経験を活かして何がしたいのか
一見バラバラに見える経歴でも、深掘りすると一貫していることが見えてきます。私の場合は「成長したい」「人が好き」ということでした。20代半ばごろからもっと良くなりたい、学びたい、知りたいという好奇心と成長欲求の赴くままキャリアを重ねてきました。
チームで働く楽しさを経験し、一人では成し遂げられない達成感を味わうことができました。
コニュニケーションで大切なことは「傾聴」「共感」そして「信頼関係の構築」だと考えています。
業務遂行のための主体性は発揮しつつ、周囲と歩調を合わせて協調すると思わぬ化学反応が起こる瞬間があります。人と人の関係性があるからこそ発生する「掛け算」的な相互作用をワクワク楽しみながら、これからも自分にできる限りのことで社会に貢献できたら幸せです。
まとめ
転職回数は、回数よりも退職理由が重要です。誰かのせいにしたり、環境のせいにしたりは避けましょう。採用担当者は退職理由や早期退職、貢献度を見ています。正直に前向きな言葉で伝えてください。
私の退職理由を説明させていただきました。キャリアの前半は好奇心と人との繋がりで、ご縁を頂いての転職が多かったです。周囲の環境が起因した退職も経験しましたが、自分の優先順位を考えての決断だったのでこれで良かったのかなと思っています。
過去の自分を振り返ってみると、チームで協力する業務と、自分の専門性を追求していくことが好きなんだな、と改めて感じました。どちらも大切に考えています。今後はキャリアアドバイザーとして転職者に寄り添った発信と、ライティングを通じてチャレンジし続ける人生を楽しんでいきたいと思います。